金融庁の職員(もしくは警察官)立会いのもと、自分のキャッシュカードを封筒に入れて、封印のハンコを押して、手元に大切に保管しているという方。
その封筒の中身は、あなたのキャッシュカードではなく、偽物です。
間違いなく詐欺なので、たとえ今が夜中でも、今すぐ最寄りの警察署、もしくは110番に電話して、「かかってきた電話のこと、家で起きたこと」を話してください。
封筒を開ける勇気があれば、封筒を開けて下さい。
開けてもいいのか不安な方は、今すぐ開けなくてもいいので、警察に電話してどうすればいいのか、相談して下さい。
警察に電話しても大丈夫です。
極秘の捜査なんて嘘です。
もう夜だから、明日の朝に電話しよう…と待っていたら、さらに被害が大きくなる可能性があります。
うちの父がそうであったように、電話を切った時点で、すでに被害を受けている可能性が高いです。
その被害を少しでも少なくする為に、今すぐ警察に電話して、起こったことを説明して下さい。
実家の父が詐欺にあいました
先日、私の実家の父が詐欺にあいました。
話を聞いたら、かなり巧妙な手口で、(多少無理な設定はあるものの)高齢者ならダマされるのも無理はないなぁ…という内容でした。
「こんな手口がある」ということを知っていれば、対応も違ってくると思うので、同じような被害に合う方が少しでも減ることを祈って、ここに詳細を記しておきます。
※実際の内容を少し脚色して、分かりやすくしています。
実際の詐欺の手口の詳細
先日、17名の詐欺グループが捕まり、そこで押収したリストの中に、あなたの情報がありました。
おそらく、銀行口座の情報なども漏れていると思われます。
(ドキドキ)
銀行の方には極秘で操作を進めている段階になりますので、銀行への問い合わせはしないようにお願いします。
些細なことで、情報が漏れると捜査に支障をきたすので、今、携帯の電源は切っていただけますか?念のためです。
警察署内でも、一般には公開されていない極秘案件になりますので、警察署にも問い合わせなどはしないようにお願いします。
問い合わせされると、情報が漏れるかたちになりますので、色々なところで不都合が出てきちゃうんですよね。
色々と申し訳ありません。
ホントに極秘なんで、お願いします。
あなた名義の通帳は何冊ありますか?
ちょっと待ってください。
確認してきます。
キャッシュカードもありますか?
3枚ともあります。
警察と金融庁の方で追跡調査しますので、銀行名・口座番号を教えてください。
B銀行 1234567
C銀行 1234567
です。
犯人側としては、やっぱり少しでも多く不正引き出ししたいということで、残高の多い口座を狙う場合が多いんです。
残高の多い口座から、優先的に調査したいと思いますので、それぞれの銀行の残高を大まかでいいので教えてくれませんか?
A銀行 200万円
B銀行 150万円
C銀行 100万円
です
これらの口座については、警察の方で追跡調査させていただきますので、安心してください。
これから、金融庁の職員がのそちらのお宅に伺います。
佐藤という女性です。身分証も持っています。
金融庁職員の立会いのもとで、3つの口座のキャッシュカードを封筒に入れて封印をしていただきます。
ですから、その封筒が開けられたり、破損していた場合には「あなたが引き出したのではない」という証明ができなくなり、救済措置は受けられなくなりますので、絶対に封筒は開けないでください。
それまで、そのキャッシュカードの入った封筒はあなたの手元で保管しておいてください。
そのままの番号ではあぶないですから。
暗証番号の変更の手続きに必要になるので、今の暗証番号を「旧番号 数字」という感じでメモに書いて、見えないように4つ折りにして下さい。
折りました。
メモの内容は3日後の開封の時に必要なものです。
今日は必要のないものですので、これからお伺いする佐藤にも絶対に見せないでくださいね。
今、手続きに関してのオンライン処理中なので、このまま電話をつなげたままでお願いします。
あ、玄関先で結構です。
キャッシュカードと、暗証番号のメモを入れますね。
(キャッシュカード3枚と、メモを渡す)
(部屋に取りに行く)
(ハンコ押す)
この封筒は、3日後まで大切に保管しておいてくださいね。
では、また3日後にお伺いします。
失礼します。
(女性が去る)
お伝えする内容はこれで全部なんですが、ごめんなさい、金融庁のオンライン手続き処理のは結構時間がかかるんですよ。
もう少しがかかるみたいなので、それまで雑談でもしましょうか?
お父さん、お子さんはいらっしゃるんですか?
二人いますが、もう結婚していて…
雑談が30分ほど続く。
30分後
では、3日後にお伺いする時の、ご都合のよい時間を教えてください。
では、また3日後にお伺いします。
こんな感じだったそうです。
あとから判明したことですが、電話を切った時点で、すでに150万円が詐欺グループによって引き出されていました。
疑いを持った母が私に電話をかけてきた
この時、母は不在でした。
夜になって帰宅した母は、父から話を聞いて不審に思い、私に「これって詐欺だよね?」と電話をかけてきたんです。
父の話では、
・暗証番号は教えていない
・キャッシュカードも渡していない
ということでした。
私も、明らかに詐欺だと思ったんですが、「暗証番号を教えていなくて、カードも渡していないなら、そこまで緊急性はないかな?」と判断してしまったんです。
詐欺だと疑いつつも、「もしかして本当に極秘捜査が行われているのかもしれない。それなら、問い合わせすると迷惑がかかるかも」という心理があったのも否定できません。
そして、こういう詐欺に合う人は、基本的に「いい人」じゃないですか?
父は、直接電話で話をしていますし、詐欺をする人って、ホントに話術が巧みなので、「警察や銀行に電話したら迷惑がかかる」って思いこんでました。
「何かが起こるなら、3日後だろうから、そこまで緊急性はない」と全員が思ってしまったんです。
もう夜だし、明日、私がそっちに行くから一緒に警察に相談しに行こう、ということになって、母からの電話を切りました。
似た事例がないか、ネットで調べた
この時、私の心の中では、「本当に極秘調査だったらどうしよう」というのがほんの少しありました。
詐欺だという確証が欲しかったので、似たような事例がないかなーと思って、ネットで「詐欺 手口」とか「詐欺 事例」とかで検索して探しました。
そしたら、細かい内容は違うんですが、「詐欺グループの資料の中に、名前があった」という似た事例を見つけたんです。
【防犯情報】
警察官や金融庁をかたる詐欺に注意!
1月 22 日、三条市等で警察官をかたる詐欺被害が発生しました。
相手は三条署のナイトウなどと名乗り、「詐欺グループの資料の中にあなたの 名前があった。」などと話した後、金融庁の職員を名乗る者が電話を変わり、「あなたのカードから現金が勝手に下ろされている。カードを新しく作り替える。」 などと話し、自宅に来た者がキャッシュカードを別のカードにすり替えて持ち去ったものです。
警察官や金融庁職員が現金やキャッシュカードを預かったり、暗証番号を尋ねたりすることはありません。
不審な電話はすぐに切り、警察署へ確認の電話をしてください。
【連絡先】三条警察署 電話:0256-33-0110
【発信元】三条市市民部環境課生活安全・交通係
電話:0256-34-5574引用元はこちら
カードがすり替えられていたことが発覚
この時点で、夜の10時を過ぎていたんですが、「これと似てない?」って、この内容を母にLINEを送ったら、しばらくして電話がかかってきました。
母は、私の送った内容に「キャッシュカードを別のカードにすり替えて持ち去った」という内容があったので、父を説得して、封筒を開けたそうです。
↓実際の写真です。
父のキャッシュカードではなく、同じような厚みの別のカードが入っていました。
その夜にカードを凍結させることができた
その後、警察に電話して、銀行の緊急窓口の電話番号を教えてもらい、カードをすべて凍結させました。
でも、その時には、すべての口座から「ATMでの1日の引き出し限度額50万円」がすでに引き出されていました。
もし3口座あれば、50万円×3で150万円ですね。
次の日になったら、また3つの口座からそれぞれ「引き出し限度額の50万円」が引き出されます。
犯人は「50万円ずつ」「数日かけて」口座からお金を奪っていくんです。
幸いだったのは、夜のあいだにカードのすり替えに気づくことがでたので、「1日分の被害額」で済みました。
これが、次の日に警察に相談していたら、そこでカードのすり替えに気づくはずなので、「2日分の被害額」になります。
でも、3日後まで大切に封筒を保管していたら、(当日が1日目になるので)「4日分の被害額」になります。
母よ、よく封筒を開けてくれた!
犯人側が、「くれぐれも封筒を開けないように」指示したのはそのためです。
発覚が遅れれば遅れるほど、犯人側にお金が入りますからね。
もし、口座に200万円の残高があった場合、初日に気づくことができれば、50万円の被害で済みます。
3日後まで気づくことができなかったら、200万円の被害になってしまします。
3日後の約束の時間になっても誰も来なくて、「おかしいな?」と思った時には、すでに200万円が口座から消えています。
だから、最初に言いましたが、封筒が手元にある方は、今すぐその封筒を開けてください。ここまで読んでいただけたなら、封筒を開けることができると思います。
ちょっと席をはずした隙にカードがすり替えられます
ちなみに、すり替えは「ハンコを取りに行くために、席を外したとき」に行われます。
でも、宅配便のために「ハンコが玄関先に置いてある」っていうご家庭も多いと思います。
実際のことを言うと、うちの実家も玄関にハンコを置いてるんですね。
目の前でハンコを出されたので、玄関を離れてもらうことができませんでした。
そしたら「赤で日付を記入する決まりになっているので、赤ペンありませんか?」って聞かれたそうです。
赤ペンが玄関にある家って少ないですよね?
さすがに、うちも赤ペンは玄関になかったので、部屋に取りにいってる間にすり替えられました。
もし、赤ペンも玄関にあったら、次は「糊はありませんか?」とか来ると思います。
この事例をみんなに話してください
不幸中の幸いというか、我が家の被害が最小限で済んだきっかけは、「私がネットで似たような事例を見つけたから」です。
だから、この記事を書きました。
「こういう手口がある」ということを知っていれば、早い段階で気づくことができます。
今回の手口の場合、「自分の手元にキャッシュカードがある」という安心感があり、「封筒は開けてはいけない」と思い込まされます。
それが、事件の発覚を遅らせます。
この記事を読んでもらえたなら、これから起きるであろう被害を減らすために、ぜひ「『自分のキャッシュカードを封筒にいれて、保管しておいてください』っていう詐欺があったんだよ」と身近な人に伝えてください。
お願いします。